競馬における不利(出遅れ、枠順、前詰まりなど)の影響力をどう考えるべきか。 補正を掛けたタイム差の標準偏差(平均からの離れ方の指標)をクラス別に出してそこから考えたい。

※2005~2020年6月(障害戦除く) 短距離・・・1600m以下のレース
生涯0勝で終わる馬と未来のオープン馬が一緒に走る事になる新馬戦では着差の開き方は最大になり、上級条件では先頭から最下位の馬までの差は小さくなる。 1馬身出遅れ(発馬のロス)が不利として大きく響くのは差のない面々で走る上級条件の方だという結論が出せると思う。
前が詰まるロス その他「馬群を捌けず前が詰まって追い出しが遅れた」際の不利などに関しても同様に上級条件の方が相対的に大きく響くと言えるだろう。さらに着差の開きは短距離よりも長距離、芝よりもダートで大きくなる傾向があり、最小を探せば上級条件・芝・短距離の組み合わせになる。馬群が窮屈になりがちな芝・短距離のレースでは前詰まり・出遅れの心配も予想の戦略上重要になると思う。
大外を回すロス これも似ているが進路に困る(前が壁、外に進路をとる)のは常に差し・追い込み馬である点には注意したい。芝の上級条件では後方待機策をとる馬の回収率がハッキリと悪くなっている。「外を回す損失」は実存するとみられ頻繁に大外をぶん回す騎手はレース条件によっては割引だろう。 ※前走2角位置別 2005~2020年6月 1000万下~オープン 13頭立て以上 9番人気以内
枠順による不利 馬群がばらけがちな長距離レースでは進路の確保は楽でも、外枠の馬が長く外を走らされる距離損の心配がある。調べると芝&1000万下以上の上級条件戦では内枠有利の傾向が見られ、長距離戦で顕著だった。(ダート戦に限ると枠順による勝率や回収率の偏りは見られなかった) ▼前走外枠馬は高回収率  ※2005~2020年6月 芝・1000万下~オープン 13頭立て以上 9番人気以内
高速馬場の問題点 同じ芝のレースでも時計が早い高速馬場ほど着差は小さくまとまり、僅かな不利が着順を大きく振り分ける要因になってしまう。過去のレコードタイムの価値が分からなくなる程の馬場高速化は競馬を枠順ゲームに近づけ、差し・追い込み馬を台頭できなくする不公正な競馬の下地になる事を最後に付け加えておきたい。"負荷をしっかり掛ける事も馬場の役割だ"という優れた見識が下記リンク先にあるのでどうぞ。
※アーモンドアイのレコード駆けが衝撃的だった2018年秋以降の東京競馬場枠順別成績(芝・1000万下~オープン)  ameblo.jp
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