競走馬のレースに対する印象を大きく左右し得るレース中に掛かる負荷をその馬の余力の指標である上がり時計から考えてみたい。

09/27 芝2200m 2’15’5 上がり34.5 (1着) 11/15 芝2200m 2'10'8 上がり33.9 (5着)
2分15秒5(135.5秒)に占める34.5秒と2分10秒8に占める33.9秒の割合をそれぞれ計算すると25.5%と25.9%。上がり33.9と速く見える後者の方が走破時計比では上がりに時間を要しており、単純に考えれば馬としてお釣りの無い状態だったと見なす事ができるだろう。

01/24 芝2200m 2’19’8 上がり38.4 (12着) 02/14 芝2200m 2'11'7 上がり35.8 (10着)
先週出走していたベストアプローチの前2走の場合ではどうか。 2分19秒8中の38.4秒、2分11秒7中の35.8秒は割合にしてそれぞれ27.5%と27.2%。走破時計に違いがありすぎて分かりにくいが後者の方が僅かに余力ありの速い上がりになっていると考える事ができる。
2021年大阪杯
コントレイル 10/25 芝3000m 3'05'5 上がり35.2 11/29 芝2400m 2'23'2 上がり34.3 距離が異なる場合は走破時計から平均化したラップで比較。 3'05'5 × 600m/3000m =37.1 (3F(600m)毎の平均時計) 2'23'2 × 600m/2400m =35.8 37.1秒に占める35.2秒、35.8秒に占める34.3秒の割合はそれぞれ94.9%と95.8%。数字上では速い34.3秒の方が余力はむしろ少ないと判断できる。レースの距離も短いので後者のコントレイルはより早い段階で息が上がっていたのである。(前半のペース:前者はスローペース、後者はハイペース (馬柱ソフト馬聞ライトの判定))
グランアレグリア 10/04 芝1200m 上がり33.6 / 平均34.2 =98.2% 11/22 芝1600m 上がり33.2 / 平均34.5 =96.2%
サリオス 10/11 芝1800m 上がり34.1 / 平均35.2 =96.9% 11/22 芝1600m 上がり33.1 / 平均34.7 =95.4%
両頭は2走前がハイペース、1走前がスローペースと逆のパターン。 特にグランアレグリアは1200mのハイペースを走った後1600mのスローペースを経験、数字の違いは僅かでも(33.6と33.2)この2走間で甚だしい緩急が付いている。
一概に言えないものの休養明け3戦目で凡走する"3走ボケ"を見せる馬にはこんなパターンが多いように感じる。前走までの経験が馬の能力発揮度に関わるとの観点から言えば21年大阪杯はたとえ良馬場であっても3強だけの競馬になるとは判断し難いレースだった。
当然競走馬は生き物だから、何が起こるかわからない。 共にあるのが自信か、萎縮かの見極めにはその馬が味わった負荷にも踏み込んだ方が良く専門紙の予想技術にもそれは活かされているようだ。

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